今朝テレビで観た天気予報では曇りマークがついていた。
慌ただしく出勤の用意をする私に母がこう言った。
「降水確率30%やのに傘なんかいらんて」
それもそうやな。
――なんて、納得した私がアホやった。
開館準備が終わって、ウェルカム利用者!と自動ドアの鍵を開けた途端――
バケツをひっくり返したかのような、大雨。
ああもう、降った降った。
そりゃあいい調子でざんざん降りよ。しかもなんか遠くでゴロゴロ鳴ってるし。
帰りには降り止むかなー、なんて期待もむなしく、定時になっても降り続く雨。
帰り支度のまま、いつまでも机にぼけっと座っている私をうっとうしく思ったのか、隣の
席の先輩(残業中)が、
「今日、傘持ってこんかったん?」
「持ってこなかったんですよねー」
「でもあんた置き傘しとったんちゃうの?」
「してますよ」
ほれほれ、と見せてあげる。袋に入った折りたたみ傘を。
「傘持ってんのに何で帰らへんの?」
「使いたくないから」
説明しよう。
実はこの折りたたみ傘、二年前に購入し、置き傘としてロッカーにしまい込んでから一度も
使用したことがないのである。この二年間。ただの一度も。
こうなれば、いっそのこと使わずにいたくなるのが人の心というものではないだろうか。
そう、私はこの傘を開きたくはない――袋から出すことさえしたくはないのだった。
だってもったいないし。
「使ったら負け」とすら思う。
「…………『おじさんのかさ』って知ってる?」
「佐野洋子作・絵。講談社より出版。日本図書館協会選定図書」
「“あめがふったら ポンポロロン”」
「“あめがふったら ピッチャンチャン”」
「歌いながら帰れ」
それはとてもとても――素敵な提案に思えた。
“あめがふったら ポンポロロン”
“あめがふったら ピッチャンチャン”
それを実践、または検証するために、勢いよく折りたたみ傘を開く。
勢いよすぎて裏返ってしまったが、手早く組み直し、職員用出入り口から飛び出す。
そして。
曇り空の下、湿った風に吹かれながら私は誓った。
二度とオカンと先輩の意見に耳を貸すまい――と。
さてさて。
拍手ぱちぱちありがとうございました。
前置きが長くなりましたので、コメントの返信は明日、改めてさせて頂きます(平伏)。
そして、メールも…♪
あまりに嬉しすぎる内容に浮かれておりますよ。テンション高めで返信させてやって
下さいませねー。