時々は基本に立ち返ろう。

この会話はフィクションです。実在の人物・団体などにはいっさい関係ありません。

――そういうことにしておいて下さい。

Ｍ「せいやん先輩、ちょっと教えて下さい」
Ｓ「何でも聞きたまえ、後輩Ｍちゃんよ」

Ｍ「佐藤浩市のお父さんって誰でしたっけ？」

Ｓ「…さとうこういちって誰やったっけ？」

Ｍ「……ほら、今、キリンビールのＣＭ出てる人ですやん」
Ｓ「あー、わかった！今、顔、思い浮かんだ！“選ぼう、ニッポンのうまい！”や」
Ｍ「そうそうそれそれ、その人ですよ。お父さん誰でしたっけ」
Ｓ「知ってんで。俳優さんやんなー」
Ｍ「せやからそれ誰やねんって」
Ｓ「知ってんねんで。でも知ってんのに出てこーへんねん。何か“み”のつく名前なんよな」

Ｍ「あ、そっか！三船敏郎ですね！」

Ｓ「違うがな。ビシっ（←裏手ツッコミ）一応つっこんどいたけど、何それ、マジボケ？」
Ｍ「え、でも何かそんな名前でしたやん」
Ｓ「どうでもええけど、あたしの頭ん中で“荒城の月”が延々リピートされとんやけど。何でかな」

Ｍ「“こうじょうのつき”って何ですか？歌っすか？」

Ｓ「うっそ！あんた知らんの！」
Ｍ「聞いたことあるよーなないよーな…」
Ｓ「はるこーろーの、はなのえんー、やんか。ほんまに知らんの？」
Ｍ「知りませんねー。世代の違いですかねー」
Ｓ「ジェネレーションギャップ？…って、ちょっと待ったりーや、うちら２コしか違わへんやん！」
Ｍ「まあそれは置いといて、問題は佐藤浩市のお父さんですよ」
Ｓ「いやー、ここまで出かかってんねんけどなー」

「だーっもうっ！あんたら、ほんっまうっとーしいわっ！」

Ｓ＆Ｍ「「あ、Ｏ先輩や」」

Ｏ「あんたらがごちゃごちゃ言うてるから、あたしまで気になってきたやないの！」
Ｓ「なんや、先輩も知らんのですか」
Ｏ「やかまし、節穴。…あんな、うちらの職場はどこか言うてみ」

Ｓ＆Ｍ「「図書館」」

Ｏ「図書館とは何ぞや？」

Ｓ＆Ｍ「「情報資料を収集、それを整理して保存し、利用者へ提供する施設」」

Ｏ「分かっとるんやったらとっとと『テレビ・タレント人名事典』取ってこい！」

Ｓ＆Ｍ「「了解！」」


その３分後、三國連太郎であることが判明。
ちなみにいきなり私の頭に流れた“荒城の月”の作曲者は滝廉太郎。
――“れんたろう”つながりでニアピンだったわけだ。

いやあ、今回の件は思わぬ盲点、というか、灯台もと暗しでしたね。
分からないことはすぐにその場で調べられるとっても便利で有り難い職場なのに…。
案外、職員の方が利用しないものなのかも。…いや、そんなの私らだけか。